本日はロシアのビザ取得方法についてご紹介したいと思います。
突然ですが、皆様はこれまでの海外旅行でビザが必要な国に行ったことがあるでしょうか。
「え、海外旅行ってパスポートがあれば行けるんじゃないの?」
「ビザってパスポートと違うの?」
「聞いたことはあるけれど具体的にどんなものかわからない」
と思われた方、それがごく普通の感覚です。なぜなら、日本のパスポートはビザ無しで渡航可能な国の数が世界1位でビザを取得する機会が最も少ないからです。現在、パスポートだけで旅行することができる国は190か国を超えており、年々増加傾向にあります(出典: Henley Passport Index)。
一方で、依然としてビザが必要な国もあります。ロシア、カメルーン、ガーナ、キューバ、イラク、シリアなど、概して国内情勢が不安定なところや社会主義国に多く見られます。また、アメリカではESTAと呼ばれる査証システムを導入しています。
そもそもビザって何?
簡単に言うと、入国するための通行許可証のようなもので、日本語では査証と言います。
ビザは渡航の目的に応じて観光ビザ、トランジットビザ、就労ビザ、留学ビザなどに大別されます。このうち、海外旅行に必要なビザはもちろん観光ビザになります。
ロシアのビザについて
ヨーロッパで唯一、ビザが必要な国になっています。
日本国内でビザの受給を済ませてからでないと、いざロシアの空港に着いても入国を拒否されてしまいます。
ビザの取得は、必要書類を総領事館に直接持ち込んで申請します。
残念ながら領事館に郵送しても受け付けてもらえません。申請者本人が持参するか、もしくは必要書類を旅行代理店に郵送して代わりに行ってもらう必要があります。
ただし近年の動きとして、ロシアの中でもウラジオストクのある沿海地方、カリーニングラード州、レニングラード州はE-visa(電子査証)の取得だけで渡航することができるようになりました。
E-visaは従来のビザ申請に比べると24時間申請可能、招聘書不要、手数料無料と様々なメリットがあり、とても楽に取得することができます。今後もE-visaに対応する地域が拡大していくといいですね。
実際にビザの申請ってどうやるの?
今回はロシアのE-visaに対応していない地域に行く場合の観光ビザの取得方法について紹介したいと思います。
ビザの申請にあたっては大きく分けて、個人で申請する方法と、代行会社に依頼する方法とがあります。まずはそれぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
個人申請のメリット
圧倒的なコストの安さです。
ロシアのビザ発行手数料は、申請から受給まで11営業日待てば無料になります。逆にすぐ受け取りたい場合、3営業日以内の受け取りなら1万円かかります。日数によって金額が大幅に変わりますので、余裕をみて出発の2〜3週間前に申請するのがベストです。
個人申請のデメリット
初めてだと手続きが分かりづらいことが挙げられます。また、申請と受給で必ず領事館に2回出向かないといけません。在大阪ロシア連邦総領事館では、
月曜日 | 9:30-12:30 14:00-16:00 |
火曜日 | 9:30-12:30 |
水曜日 | 受付なし |
木曜日 | 9:30-12:30 14:00-16:00 |
金曜日 | 9:30-12:30 |
土日祝 | 受付なし |
と、かなりピンポイントな受付時間となっていますので、平日に予定を空ける必要がでてきます。家族や友人に代理してもらうことは可能です。
代行会社申請のメリット
申請手続きを代わりにやってもらうことができる、これに尽きます。利用者はパスポートと顔写真を郵送すれば、指定の期日までにビザを受け取れるようになっています。
代行会社申請のデメリット
どうしてもコストが高くなります。個人申請と比較すると、1〜2万円程度の代行手数料が発生します。この他、郵送でパスポートをやりとりするので、紛失や遅延などのトラブルが起きる可能性も0ではありません。
個人申請と代行会社申請のまとめ
それぞれのメリット・デメリットをまとめると次のようになります。
個人申請 | 代行会社申請 | |
メリット | コストが安い | 手続きが簡単 |
デメリット | 手続きが分かりづらい 平日を空けないといけない | コストが高い |
ほぼ表裏一体になっています。個人申請における手続きの分かりづらさはあくまでも初見に限った話で、やり方さえ知ってしまえば決して難しくありません。以下では、個人申請のやり方を順を追って説明していきます。
ロシアビザ申請に必要なもの
下記1〜4の詳細は、総領事館ホームページで確認できます。
- 申請者のパスポート原本
有効期限が出国日から起算して6か月以上、ビザを貼付する余白が見開きで2ページ以上それぞれ必要になります。
- 顔写真
パスポートサイズ(4,5х3,5cm)を用意します。4の申請書に貼付します。
- 旅行確認書(招聘書)
ロシアの旅行会社が発行する招待状です。バウチャーやサポートレターとも呼ばれます。本稿では便宜的に「招待状」に表現を統一します。
オンライン上で発行してくれる旅行会社に依頼します。詳細は後述します。
- 電子査証申請書(EVA)
ロシア外務省領事局の専用サイトで手続きします。詳細は後述します。
招待状の入手方法
ロシアへ旅行するためには、ロシア国内の企業や関係者から「来てもいいよ」というお墨付きをもらわなくてはなりません。
私のようにロシアに何のコネクションもない方は、TravelRussiaに依頼して招待状を書いてもらいましょう。有料です。英語かロシア語表記のサイトになりますが、簡単な手順になりますのでご安心下さい。
トップページにある「TOURIST INVITATION」をクリックします。
「ORDER AN INVITATION」を押下。
- Nationality on Passport:パスポート記載の国籍。Japanを選択すると、入国回数が表示されます。ロシアのみを旅行するのであればsingle、ロシア→周辺国→ロシアのように旅行中2回入国する予定があればdoubleを選択します。値段は12〜14€とほぼ同じなので、予定が決まっていない方はdoubleを選んでおいて損はないと思います。
- Invitation Delivery Method:招待状の送付先。特殊な事情がなければE-mailを選択
- Sex:性別
- Given Name:下の名前(名)
- Family Name:上の名前(姓)
- Date of birth:生年月日
- Passport Number:パスポート番号
- Date of Arrival to / Exit from Russia:入国日と出国日。日程が決まっていない方は前後に余裕を持たせて入力しておきます(最長30日)
Children、Vehicle、Your comment to the orderは空白でOKです。
旅行先の都市と、滞在予定のホテルを最低1箇所ずつ選択します。ホテルは当然全て網羅されていませんので、適当なホテルかOtherを選べば大丈夫です。滞在中も特に確認されません。
上のPayPal (JCB-for JAPAN, American Express, Visa, Mastercard)をチェックします。
- Given Name:下の名前(名)
- Family Name:上の名前(姓)
- E-mail:メールアドレス
- Phone number:電話番号。日本の電話番号を使用する場合は+81から始めます。
全て入力を終えたら右下のNextをクリックします。
しばらくするとRussianTravelから支払及び招待状のダウンロードに関する案内メールが届きます。私の場合は30分ほどで返信がありましたが、営業時間の関係などで遅くなることもあるようです。
メールに記載のURLにジャンプします。
先程の登録内容が正しく反映されていること確認し、ページ最下部の「PAY BY CREDIT CARD」を押下し、支払いを済ませます。
支払後、ページ中央の「Download invitation」が有効になりますので、クリックして招待状をダウンロードしましょう。
招待状のサンプル
以上が入手の流れになります。スムーズにいけば1時間以内に全て完了します。簡単ですね。
電子査証申請書(EVA)の書き方
招待状が入手できたら、次はEVAを書いていきましょう。まずは専用サイトにアクセスします。
①「JAPAN」を選択
②「日本語」を選択。以降、表示が日本語になります。
③「この情報を読みました」にチェック
④「新申請書を記入する」をクリックして次に進みます。
パスワード入力画面に遷移しますので、任意のパスワードとランダムの文字列を入力して次に進みます。
申込書の申し込み番号が表示されますので、控えてから次に進みます。
説明に沿って記入していきます。特段の事情がない限り、訪問回数、入国日、出国日は招待状記載の日付と揃えます。
個人属性を入力して次に進みます。
パスポート情報を入力します。
受け入れ先の組織として、招待状の会社情報を記入します。
私の招待状を例にすると、以下のようになります。
- Name of organization: ALLIANCE TRAVEL COMPANY
- Address: 191036, SAINT-PETERSBURG, RUSSIA SUVOROVSKIY PROSPECT, BLD.2B, LETTER A, OF.204
- Reference number: Federal Register of TourOperatorsの横にある番号
- Confirmation number: VOUCHERの横にある番号
自宅・職場の連絡先、同行者・親戚の有無を記載します。
最後に提出先を選択します。私と同じ関西在住者は「CONSULATE GENERAL OF THE RUSSIAN FEDERATION IN OSAKA」になります。
「次」を押下すると、ここまでの入力情報が全て表示されますので、問題がなければ保存をクリックします。
ページ上部に「成功です。電子申請用紙が出来ております」と表示されればOKです。申請用紙をダウンロードして確認してみましょう。
誤りがなければこれで作業終了です。お疲れさまでした。
大使館に持参する
申請に必要なものの1〜4が揃ったら、大使館に持っていきましょう。顔写真は印刷したEVAに貼り付けておきます。
顔写真についてはビザに転載されますが、写真映りにこだわりがなければ、履歴書カメラなどのアプリで撮影してコンビニで写真印刷すれば30円で済みます。採用面接ではないのでそこまでハイクオリティは求められません。
在大阪ロシア連邦総領事館の場所
在大阪ロシア連邦総領事館は、住宅街の中にあります。見つけづらいかと思いきや、なぜか警察車両が常時停車しているので一発で分かります。
正門の警察に身分証を提示して中に入り、受付で書類一式を渡します。その際、希望する受取日を訊かれるので日程に余裕のある方は11営業日以降と告げましょう。手数料が無料になります。
受付終了後、領事館職員が受取可能期間を書いた紙を発行してくれます。
訪問の事前予約について
在日ロシア連邦大使館の公式ホームページには、申請にあたって事前予約が必要とあります。
ですが、大阪の総領事館は事前予約は不要です。当日書類を持っていくだけで問題なく受け付けしてくれます。なお、当該情報は2020年6月時点のものになります。事前の告知なしに運用や手続が変更になることもありますのでご留意下さい。
ビザの受け取り
受取可能日になったら、もう一度同じ領事館に向かいましょう。受付場所は同じです。
申請時に受け取り可能な日付が書かれた紙切れを貰えるので、記載されている日付に合わせて訪問して下さい。
これがロシアのビザになります。なかなかクールなデザインです。
ロシアのビザ取得のまとめ
ここまでビザの申請〜受取まで見てきましたがいかがだったでしょうか。案外難しくないことが分かったと思います。
自分で申請すれば、実質的なコストは招待状の入手に必要な12〜14€のみとなります。領事館近郊にお住まいの方は、交通費を考慮しても絶対にお得になりますので是非挑戦してみて下さい。
逆に、ビザ申請先が近場にない場合は最低2往復の交通費も考慮し、申請代行会社の利用がオススメです。
また、今回はロシアのビザについて筆を執りましたが、基本的な取得までの流れは他国も同じになりますので、参考になれば幸いです。
実際のロシア体験記は、こちらをどうぞ。