かつてジェームズ・ヒルトンが「失われた地平線」で著した理想郷シャングリラをご存知でしょうか?
人類の理想的な社会として描かれているこのシャングリラですが、事実は小説より奇なり、中国に実在する都市なのです。正確には2000年代に入り中国雲南省にある中甸県が改称してシャングリラ県(現在は市)が誕生しました。名前の由来は小説からなので、逆輸入ということになります。
6,000m級の山々に囲まれた高地にあり、下界と隔たれた世界にはラサと同様に多くのチベット僧が修行を行い、生活しています。
現実のシャングリラってどんなところ?

では、現実のシャングリラとは一体どんな場所なのでしょうか。
シャングリラはチベット自治州にあり、チベット文化が息づいています。人々、寺院、街並み、文字、料理etc。是非はさておき、漢化政策の進む中国にあっても、街の至るところで色濃いチベット文化を感じることができます。
つまり、シャングリラの最大の魅力はチベット文化を身近に体験できるところです。
チベットと言えば、チベット仏教の総本山であるラサやその中にある世界遺産のポタラ宮が有名どころとして挙げられますが、ツアーでしか入境許可が下りないなど、辿り着くまでのハードルがかなり高くなっています。
一方、シャングリラは個人でも難なく足を運ぶことができる上に、松賛林寺などポタラ宮にも引けをとらない文化遺産が数多く建立されています。
また、標高が高いこともあり、高地ならではの素晴らしい自然を堪能することもできます。特にシャングリラの空は必見です。昼は雲ひとつない突き抜ける青空を、夜は筆舌に尽くし難い満天の星空を、特等席で眺めることができます。
シャングリラへのアクセス
https://www.google.com/maps/d/embed?mid=1remD35SjaOYDSp6SAywl9jRAnkP0cE0R
上記が日本からシャングリラまでのルートになります。アクセスは昆明経由のフライト非常にが便利です。

デチェン・シャングリラ空港の様子。
何の変哲もない地方空港ですが、標高が3,000mを超える場所にあるため、陸路を使わずに飛行機で一飛びだと高山病の症状が出ることがあります。個人差はありますが、私も到着日当日は軽い頭痛に悩まされました。2日目以降は体が順応していくため、なんともなくなります。
シャングリラのマニコロ

チベット仏教の重要かつ有名な仏具として、マニコロがあります。別名でマニ車や転経器などとも呼ばれています。
中心の棒を軸に回転する構造となっており、右回りに回すとマニコロに書かれたお経を読誦したのと同じ功徳を積むことができると言われています。
現地の方に話を聞くと、識字が困難な庶民や外国人への普及のためにできた仏具だそうです。面倒くさがりを救済するためのものではありませんでした。
巨大マニコロ現る!

そんな便利なマニコロですが、シャングリラのそれはスケールが違います。寺院よりも大きい巨大なマニコロが街の中心部にある亀山公園内に鎮座しています。

金色に光り輝くマニコロの側面には、何やら美しい模様が彫刻されています。この強烈な金色は中国文化の影響で、元々はもう少し大人しめの色だったそう。
マニコロをコロコロする様子。一人では到底回すことができないので、皆で協力して徳を得ます。私も参加してお裾分けしてもらいました。

夜はライトアップされて、より荘厳さが際立ちます。
シャングリラの寺院

マニコロと並んでシャングリラには多くの寺院があります。その中でも小ポタラ宮と呼ばれる松賛林寺が特に有名です。
松賛林寺は17世紀に建てられたチベット仏教最古の寺院の一つとして、現在に至るまで多くの僧侶が修行と生活を行っています。観光客と同じルートを使って、赤い袈裟を身に纏った僧侶の方々が階段を登って行く姿を目にすることができます。
シャングリラのシンボルであり、マニコロよろしく近年になって黄金色がより強くなりました。てっぺんは遠目でもピカピカに光っています。
シャングリラの中心部からは5kmほどの距離にあります。専用のバスやタクシーに乗れば10分ほどで到着しますが、その気になれば歩いて行くこともできます。
天へと駆け上がる階段


画像が少し分かりづらいですが、寺院に向かうためには中央にあるとんでもなく長い距離の階段を登っていきます。
しかも標高が高いため少し登っただけですぐに息切れします。ゆっくりと時間を掛けることをオススメします。

野良の豚もブヒブヒ息を漏らしています。

階段登りに疲れて空に目をやると、そこには常に混じり気のない青空があります。見ていると今にも吸い込まれそうです。
登り切った先にある景色

ようやく階段を登り切ると、鷹揚と空を舞う鳥が出迎えてくれます。

寺院の中はこれぞチベットというような装飾に溢れています。
カラフルな飾りと、力強い神様(仏様?)が特徴的です。

なかなか厳つい神様も描かれています。右手に持っているのはマニコロの類でしょうか。
長いので一旦区切り、後編に続きます!